連作短編集(連作小説)という形式の小説が大好きです。
連作短編集とは、何らかのつながりを持った短編の集まりです。短編ごとに主人公や舞台は異なっていても、話のどこかで他の短編の人物が登場したりします。独立した短編集ではなく、それぞれが関連し、やがて大きな物語になることも。
短編ごとにつながりあうストーリーや人物がとても心地良いんです。
単なる短編集ではなく、ストーリーや登場人物など、一つ一つの話がつながっているのが特徴です。
連作短編集の魅力
短編(章)ごとにメインとなる人物が異なり、複数の視点で物語を楽しむことができます。
「さっきの登場人物が、今度はこんな形で登場するのか」
「さっきの出来事を、別の人の視点から見るとこんな風になるのか」
など、さまざまな角度から出来事が語られ、思いがけない事実や裏側を知ることも。
それぞれの話が関連しながら、最後には1つの物語となったり、登場人物たちのつながりなど、すべてが判明した時はテンション上がります(ここが一番の魅力!)。
1つ1つの話は長くないので、長編に比べたら読みやすいのも特徴。スキマ時間にも読みやすいですが、できれば一気に読んでしまうのがおすすめ! 話のつながりが鮮明に感じられ、より魅力にはまること間違いなし!
それぞれの話や人物が、どうつながっていくか考えながら読んでも楽しいです。
おすすめ連作短編集8選
※紹介順にオススメです。
優しく心温まる系の話が多いのは、連作短編がそういうものになりやすいのか、僕の好みなのか(笑)
阪急電車
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。
「BOOK」データベースより
「好きな小説何?」と聞かれたら、即答で「阪急電車」と答えます。この本をきっかに連作短編集の魅力にはまりました!
普段小説を読まない人にも迷わずおすすめできる、読みやすく、心温まる物語です。
同じ路線の電車に乗り、たまたま乗り合わせた乗客たちの日常。それぞれ悩みを抱えながらも、偶然の出会を通し、前を向いていく姿が描かれます。まさに一期一会。
大きな見せ場的な盛り上がりシーンがあるわけではないですが、最後までほっこり読み続けられます。
映画化もされています。映画もオススメですが、カットされているエピソードもあるので、ぜひ原作小説と合わせてみていただきたいです。
この連作の構成もうまく表現されています。
阪急電車は【ほっこり心温まる】気軽に読めるおすすめ本でも紹介しています。
ツナグ
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。
「BOOK」データベースより
こちらも映画化されましたね。
それぞれの依頼者について描かれる4章と、「ツナグ」である主人公の視点で描かれる最終章で構成されています。最終章では、これまでの章を別視点から味わうことができます。
「自分だったら誰に会いたいと思うだろう」読みながらこんなことを考えるかもしれません
2019年には9年ぶりに続編がでました。ぜひ2冊あわせてどうぞ。
数年後の主人公の姿が描かれるほか、前作に出てきたあの登場人物の再登場などがあります。
ナミヤ雑貨店の奇蹟
悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函されたのか?3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くが…。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こせるか!?
「BOOK」データベースより
またまた映画化された作品です。
東野圭吾さんの作品では、ミステリー要素はなく、他とは雰囲気の異なるヒューマンドラマといった印象です。あったかく感動する結末となっています。
過去と現在がつながっている連作。話の内容はもちろん、次第に明らかになる真相への構成がうまく、引き込まれます。
途中まで、どういうつながりか予想がつかなかったのですが、そこが明らかになりだすともう最後まで手放せません。
ボランティアバスで行こう
東北で大地震が発生した。多くの支援活動が行われるなか、大学生の和磨は、バスをチャーターして援助活動に参加する「ボランティアバス」を主催することに。行方不明になった父親の痕跡を探す姉弟に出会う女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内など、さまざまな人がそれぞれの思惑を抱えてバスに乗り合わせるが…。驚きのラストが感動に変わる!
「BOOK」データベースより
災害ボランティアをテーマに題材とした小説は珍しく、しかもミステリー?ということで興味を持ちました。ミステリーといっても、”行先で事件が起きて推理する””とは少し違い、日常を描く、ほっこり感動系エピソードです。
登場人物たちが、エピローグで一つにつながり、人を助けるとは何か?というテーマにも触れています。
大学生の時に読んだので、大学生の話には「実際にこういう人いるかもなーと」感じながら読んでいました。
登場人物の世代も女子高生から定年夫婦までおり、きっと自分の環境に近い人が出てくるのでは。世代を問わずおすすめです。
木曜日にはココアを
川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。そのカフェで出された一杯のココアから始まる、東京とシドニーをつなぐ12色のストーリー。卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる…。小さな出来事がつながって、最後はひとりの命を救う―。あなたの心も救われるやさしい物語。
「BOOK」データベースより
全12章からなる連作。章数が多い分、1章が短いので、スキマ時間にも読みやすいホッとする作品。人同士の優しい関係が描かれており、疲れたときや寝る前など、疲れを癒すのにもってこいです。
読み終わった後は、表紙カバーも見返してみてください。
人の話では自分はわき役でも、自分の話では自分が主役、人生でもきっとそうなんだよなと思いました。そう感じられるのも、連作短編集の魅力。
2021年9月に続編が出ました! 「木曜日にはココアを」に出てきた人物も登場します。
きみのともだち
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。
「BOOK」データベースより
小~高校生のころって、親と学校の人間関係がほぼすべてですよね。人間関係に大部分を占めるともだちとの物語です。
短編数は紹介している他作品より多めですが、最後にはしっかり一つの物語となっていきます。
ほんとうの”ともだち”とは?
考えてみるきっかけになるかもしれません。
アイネクライネナハトムジーク
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。
「BOOK」データベースより
こちらも映画化された作品。三浦春馬さんと多部未華子さんが主演を務めています。
章ごとに描かれる時代が前後するので、前に登場した人が年齢を変えて登場するのが特徴。油断すると?となってしまうかもしれませんが、最後にはきれいにつながります。
人と人との出会いとは? もしかしたら、自分にもこんなことがあるのかも?
「人ってもしかして、こんな風にどこかでつながっているのかな」と考えてみると面白いです。
6時間後に君は死ぬ
6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。美緒は半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとするが―刻一刻と迫る運命の瞬間。血も凍るサスペンスから心温まるファンタジーまで、稀代のストーリーテラーが卓抜したアイディアで描き出す、珠玉の連作ミステリー。
「BOOK」データベースより
最初と最後の章が対となるように、深く関わり合っています。
タイトル通り6時間後には死んでしまうのか、それとも運命に抗うのか、最後はどうなるんだろうと一気に読めます。
サスペンス要素もありますが、終始緊迫した話というわけでもなく、優しく心温まる話も含まれます。
紹介した本を読むには
Amazonや楽天で購入のほかに、以下の小説はU-NEXTの電子書籍でも読むことができます。
・阪急電車
・ツナグ(続編含む)
・ナミヤ雑貨店の奇蹟
・ボランティアバスで行こう
・きみのともだち
・アイネクライネナハトムジーク
31日間無料トライアルに申し込みで、600ポイントもらえ、そのポインを使い読むこともできます。
さらに紹介した本を原作として、映画化されているものもあります。
・ナミヤ雑貨店の奇蹟
・アイネクライネナハトムジーク
この2作品は、U-NEXTで見放題作品にも含まれています。ぜひ見てみてください! 原作と合わせてみると、より楽しめます!
趣味全開でしたが、僕の大好きな連作短編集についての紹介でした。気になった方は、Amazonや楽天で購入、U-NEXT利用など、自分にあった方法でぜひ読んでみてください。
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